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【無人島最終日】Charlie Haden & Pat Metheny "Beyond The Missouri Sky" [CD]

Beyond The Missouri Sky (Short Stories)

Beyond The Missouri Sky (Short Stories)

  • アーティスト: Charlie Haden & Pat Metheny
  • 出版社/メーカー: Verve
  • 発売日: 1997/02/25
  • メディア: CD


40日目。突然ですが、今回でこのブログの更新が終了になります。4月末にはページ自体が見れなくなります。えーっ!そんなー!やめないでー!ってエールが耳鳴りのように聞こえますが、ただの耳鳴りかもしれません。今回の終了はボクの意思ではなくて、このブログを運営されているオトコ30代「Direction」の改編にあたる決定なので、ごめんな、みんな。キャー!ハチさーん!ってこれも耳鳴り?「無人島に持っていく100冊の本と1000枚のCD」ってタイトルなのに、結局40枚しか紹介できなかったぜ。だからよ、今日は最後にとっておきの、マジで無人島に持っていく1枚のCDってのを、みんなに紹介してえのさ。キャー!しびれちゃうー!好き好きー!結婚してー!って、絶対耳鳴りだな、これは。

ギターリストのパット・メセニーと、ベーシストのチャーリ・ヘイデンが、97年に発表したデュエット・アルバムです。多分、本当に無人島に1枚だけCDを持っていけるとしたら、ものすごく悩むと思うけど、ボクはこのアルバムを選ぶと思います。ちなみに次点はキース・ジャレットの「The Koln Concert」。かなりいい勝負ですが、バラエティの豊かさと思い入れの大きさで、このアルバムが僅差でウィナー。

まず思い入れの部分から書くと、このCDが発売された97年、ボクはロンドンに住んでいました。当時脱サラ留学生で、アートカレッジで絵や写真の勉強なんかしていました。特に写真は始めたばかりでどうにも楽しく、学校の授業だけじゃ物足りなくて、自分のフラットに暗室まで作るほどハマってました。昼間はカメラを首からぶらさげて、猿みたいに撮りまくり、家に帰って夜中から明け方までずっと暗室で現像をする。日本でしがないセールスマンをやっていた時に夢見ていた、「外国にでも行って好きなことだけをする生活をしてみたい」という妄想が現実のものになったうれしさで、貧乏も徹夜もまったく苦にならなかった。そんな若く至福だった日々のバックにいつも流れていたのが、このアルバムでした。今でもこれを聴くと、薄暗い暗室と、現像液の鼻のつく匂いと、満ち足りていた気持ちを、パブロフ犬のよだれのようにダラダラと思い出します。

音楽的なことを書き始めると、このアルバムはあまりにも奥深く、ジャズファンの間では語りつくされている傑作なので、今更ボクの稚拙な表現で紹介するのははばかれるのですが、なぜ「Beyond The Missouri Sky」というタイトルなのかというと、メセニーとヘイデンの出自が「ミズーリ州」で、このアルバムはそのふたりの故郷をテーマに作られているからなんですな。その「ミズーリ」という土地について、メセニーがライナーノーツでこんなことを書いています。

Missouri. For me, as a kid growing up there, it was a place to dream. A place to sit out in the backyard and consider the possibilities of life and music while practicing as many hours as I could stay awake, staring out into those vast, midwestern spaces. But as much as I loved it there, it was also filled with a restlessness and curiosity about the whole world that I knew existed beyond that Missouri sky.

ミズーリ。僕が生まれた場所。夢を見ながら育った場所。裏庭に座って、自分の人生と音楽に夢を馳せていた場所。延々とギターの練習をした場所。ミッドウェスタンの広大な宇宙を見上げた場所。そしてその土地を愛しながらも、あのミズーリの空のむこうにあるはずの世界に、強烈に惹かれていた場所。

すごい意訳だな。まあいいか。なんというか、センチメンタリズムやノスタルジーだけでない、もっと前向きななにかがこのアルバムにはあるんだよ、ってことをメセニーの言葉は伝えたいのではないかと思うのです。つたない表現ですが、ボクには全曲がまるで「祈り」のように聴こえます。小難しい意味ではなく、純粋に、過ぎ行く毎日に捧げる感謝と、「明日も生きていこう」というささやかな希望を、音楽にしたらきっとこんな感じではないかと。

というワケで、最後はちょっとマジにレビューしてみたが、みんな読んでくれたかい?イヤーン!涙で画面が見えないー!バカだな、ほら涙をお拭き。ハイ、チーン。きっとまたすぐにどこかで会えるさ。その時まで、元気でな。NO MUSIC NOR BOOK, NO LIFE. じゃあな。あばよ!

って、長い耳鳴りだな。みなさん、短いお付き合いでしたが、ありがとうございました。Directionスタッフのみなさんも、お世話になりました。またマジで、近いうち。


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