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【無人島7日目】ジュンパ・ラヒリ「停電の夜に」 [BOOK]

停電の夜に

停電の夜に

  • 作者: ジュンパ ラヒリ
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2000/08
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)


7日目。小熊バーから夜道を歩いて帰ってきたら、すっかり酒が抜けました。シャワーを浴びて水を飲んだら、ベッドに入って本でも読みましょう。でもすぐ寝ちゃいそうだから、さっぱりとした短いのがいいな。こんな静かでシンとした夜にうってつけの短編集と言えば……。ジュンパ・ラヒリの「停電の夜に」。

ジュンパ・ラヒリ。ニューヨーク在住のインド系アメリカ人で38歳の女流作家です。関係ないけど、すごい美人です。「停電の夜に」は彼女が1999年に出した最初の短編集で、この作品でO・ヘンリー賞とピューリッツア賞をダブル受賞しました。

この本には9編の短編が入っていますが、すべてインド系アメリカ人、もしくはインドに住むインド人が主人公になっています。ストーリーの中には少なからずインドとその周辺の近現代の情勢が絡んでいるので、内容を100%理解するにはそこらへんの知識が必要になります。もちろんボクにはそんな知識はこれっぽっちもありませんでしたが、でも面白かった。

1話目の「停電の夜に」の主人公はニューヨークに住むインド系アメリカ人の若い夫婦。自分たちの住むアパートが、工事の都合で1週間だけ、午後8時から1時間ほど毎日停電することになります。いつもはバラバラに食事をとるほど関係のギクシャクしていたこの夫婦は、家事の都合上、停電の期間だけダイニングにろうそくを灯して、一緒に食事をします。そのとき、妻が提案した「告白ごっこ」でお互いがひとつずつ秘密を打ち明けあうのですが……。

夫婦。夜。ろうそくの灯り。食事。お互いの顔が見えない薄闇。秘密。告白……。ぞくぞくするほど大人なシチュエーションです。乾いた筆致と装飾のない文体が心地よく、エンディングも切り捨てるような鮮やかさです。

ボク的にはこの1話目と、3つ目の「病気の通訳」が特に印象に残りました。ちょうど表紙の絵のように、それぞれのストーリーが、インドから来たいろいろなスパイスで味付けされたような、ちょっとエキゾチックで大人な読後感を与えてくれます。ジュンパ・ラヒリ。関係ないけど、すごい美人です。


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