【無人島2日目】枡野浩一「淋しいのはお前だけじゃな」 [BOOK]
さて、干したてのフカフカの布団みたいな無人島の砂浜で、ゴロゴロしながら本でも読みましょうか。いきなり最初から長編でドップリ浸かってしまうのもどうかと思うので、なにか軽ーく読めるものがいいなあ。あんま考えさせられたり語られたりするやつよりも、短くてすぐに読み切れて、読んだあと内容よりもリズムのようなものが残る本……つうと。これはどうだ? 枡野浩一の短歌+エッセイ集。
本屋で見つけた時、タイトルにやられちゃったんですよね。
「淋しいのはお前だけじゃな」。
オレだけかよ!ガハハハハハ。「い」がねえよ。どうするよ〜西やん〜。
で、即買い。枡野浩一という歌人の方が女性誌に連載していた文章をまとめたもので、1つのエッセイに1つの短歌がついています。枡野氏の日常を描いた乾いた感じのエッセイも楽しいし、文章とまったく関係のない、ペンギンのパラパラマンガ的な挿絵もかわいい。
現代歌人だと最近「穂村弘」という人が人気なのですが、独創的でフェミニンな印象の穂村氏に比べ、枡野氏の短歌は、男性的で率直で、そして確かにどこかしら「淋しい」んです。
「じゃあまた」と笑顔で別れ五秒後に 真顔に戻るための筋肉
振り向いてくれたけれども「がんばれ」は たぶん自分に言った言葉だ
ギクシャクと向こうから来るひょろひょろは ショーウィンドウにうつった自分
「淋しい」と思ったこともないくらい 淋しかったと気づいてしまう
西田敏行に「淋しいのはお前だけじゃない」と肩を叩かれるのもうれしいけど、不器用な友達に「淋しいのはお前だけじゃな!」と笑いながら小突かれるのも、それはそれでうれしいもんかも知れないと思うんです。
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